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アジマティクス

ここをこうするとおもしろい

人が壁を押すリンク機構を数式で作った

先日、こんなツイートを見かけました。

はぇー面白い

人間なんてどんだけ威張ってもしょせん回転してるだけなんやな...という気分にさせてくれます。

こういう歯車とかジョイントとか関節とかでできた機械のことを「リンク機構」と言うそうです。なんとなく、子供心を刺激されるものがあります。これが家にあったら寝食を忘れて回し続けてしまうことでしょう。

ていうかこれ数式で表現できそうやん! ワイも作ってみたいぞ!

作った

作りました。

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(n-1)²+n²とn²+(n+1)²がともに素数のときnは5の倍数

心の健康のために定期的に整数問題を解いておきましょう。

こないだは京都大学の入試問題を「あまりによって場合分けする」ことで解きました(京大理系数学の入試問題(2016)が面白いらしい - アジマティクス)。たのしかったです。

今回の問題はこれです。ツイッターより。

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かかってこいや!「1=2の証明」

1=2です。アンサイクロペディアにもそう書いてあります。

1=2 - アンサイクロペディア

内容はタイトルの通り、「12は等しい」ということをあの手この手で証明してみた記事なのですが、それにしてもこの記事が面白いのです。もちろん、数学的には一つ残らず間違っているわけですが、「どこが、なぜ間違っているのか」を考えるととても勉強になるような項目もあって、間違いだからといって簡単には見過ごせません。

よっしゃ! だったら片っ端から間違いを指摘してやる! かかってこいや!

タイプに分類

間違いはいくつかのタイプに分類されるように見えます。ひとまず記事に書かれている順番通りに見ていきましょう。

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ひとつだけでいいから「ほとんど整数」を理解したい!

「ほとんど整数」って、ご存じですか。

ふざけているわけではありません。wikipediaにそういう記事があるんです。

ほとんど整数 - Wikipedia

詳しくは読んでいただければわかるのですが、すなわち「 -0.99999020655…(ほとんど-1)」とか、「19.999099979...(ほとんど20)」みたいに、「整数じゃない(小数部分がある)けど、整数にとても近い数」のことです。

厳密に定義された数学的概念というわけではなく、とにかく整数に近い数をたくさん集めたよ、という異色の記事です。それでも「なぜこんなに整数に近いのか?」ということに対して合理的な説明がつけられるものがあったりして、非常に興味深いです(もちろん、ただの偶然のこともあります)。

Almost Integer -- from Wolfram MathWorld

↑英語ですが、こちらのリンクにはもっとさくさん「ほとんど整数」の例が挙げられています。

飲み会とかの話の種としてひとつぐらい「なぜ整数に近いのか」を説明できる数でもあったらいいなーと思ってwikipediaを読んでいたのですが、そこは天下のwikipedia。初心者には非常にハードルの高い説明となってます。

なんとかひとつだけ! ひとつでいいから理解したい! ということで解説です。

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パラドックスたろう(前編)

 むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

 おじいさんは山へ芝刈りに行く途中、亀が前を歩いているのに出くわしましたが、亀を追い越すことができませんでした。

 おばあさんは川へ選択に行きました。

 おばあさんが無限回の選択を終えたころ、川上からそれはそれは大きなももがどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。

「まあ、なんて大きな桃だこと」

 おばあさんは桃を家まで持って帰りました。

 帰ってきていたおじいさんとおばあさんが桃を割ってみようとしましたが、なかなか割れませんでした。

 おばあさんは全知全能だったので、なんでも切れるが自分には持ち上げられない鉈を作り出しました。

 その鉈を使っておじいさんが桃を割ったところ、なんと中から元気な赤ん坊が飛び出してきました。

 二人は桃から生まれたその子を「ももたろう」と名づけました。

 ももたろうはすくすくと育って、心優しく強い青年になりました。

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ケーキに3回だけ刃を入れてできるだけ公平に分割したい話

今日は楽しいパーティです。

白雪姫は、円形のケーキを作りました。

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白雪姫

円形のケーキに上から1回だけ包丁を入れると、最大2分割できます。

2回包丁を入れると、最大4分割までできます。

では、3回包丁を入れると最大で何分割できるでしょうか。そのまま考えると、6分割でしょうか?

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上図のように切れば、最大で7つに分割することができます。

ちなみに4回包丁を入れると最大11分割、5回だと166回だと22、そしてn回だと最大\frac{n^2+n+2}{2}個のピースに分割できることがわかっています。なるべく多く線が重なるように切ればいいのです。実際にやって確かめてみたい感じありますが、しかし今回の本題はそこではないのでまたこんどにしましょう。

白雪姫は、王子様からもらった大切な包丁をあまり使いたくなかったので、ケーキに3回だけ包丁を入れて7つに分割し、それを7人のこびとたちに下図のように配ることにしました。

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こびとたち

しかし、このような切り方では大きさがバラバラになってしまいます。包丁はあまり使いたくなかったくせにできるだけ公平に配ってあげたかった白雪姫は、そこで考えました。

「円形のケーキに3回(対称に)上から包丁を入れて7分割するとき、できるだけピースの大きさのばらつき具合を小さくするには、どう切ればよいか?」

ピースの大きさをできるだけ公平にするには、「ばらつき具合」を小さくすればいいだろう、というわけです。これが今回の問題です。

あ、一応ケーキは円柱であり、上面の面積がそのままピースごとの大きさになるということにしておきましょう。

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とりあえずだまされたと思って-((-1)^(1/7))を2乗してみてくれ

「アラブ世界では代数学が発展した」とはよく聞くけど、どうも自分の中でしっくりきていなかったというか、要するにあんな難しいものがどうやって始まり発展したのだろう? と気になっていたのですが、最近思うのです。代数学の始まりとは、「イコールの学問」だったのではないか? と。

つまり、「ある数を2乗して1引いたら元の数と同じになるような数はあるかな?」とか、「1引いてから2乗したら元の数の2倍になるような数があったら面白そうじゃない?」みたいな素朴な疑問から始まったのではないかと思うのです。なにかの操作をした数と別の操作をした数が「同じ」、すなわちイコールの学問ではないかと。

これは現代の言葉で言えば前者は「x^2-1=x」、後者は「\left(x-1\right)^2=2x」のことになります。これはまさに方程式です。「代数学が発展した」「方程式の学問が発展した」っていきなり言われても実感がわかないけど、こういう素朴な疑問から始まったとしたら、最初期の代数学がこれを出発点にどんどん発展していったというのもうなずけるし、当時の人達の気持ちに思いを馳せることもできるような気がします。

2乗して巡回する数

さて。そんな感じでいろいろやって遊んでいたのですが、その一環でこういうのも考えてみました。

a^2=b

b^2=c

c^2=a

つまりさっきの感じで言うと「2乗するたびにぐるぐる巡回するような3つの数は作れないかな?」ということです。

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はじめてのディリクレ関数

「ディリクレ関数」という病的な関数があります。こんなのです。

f(x) =\left\{ \begin{array}{l} 1 \ \ (xは有理数)\\ 0 \ \ (xは無理数) \end{array} \right.

f(x)」とは「xに関する関数ですよ」ってことです。すなわちディリクレ関数f(x)とは、「x有理数を入力すると1が、無理数を入力すると0が出てくる関数ですよ」ということを意味しています。

例えば\frac{22}{7}有理数なのでf\left(\frac{22}{7}\right)=1\frac{\sqrt{2}}{2}無理数なのでf\left(\frac{\sqrt{2}}{2}\right)=0ということになります。

あ、「ディリクレ」は人名です。こういう関数を考えた人がいたよってことです。

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ペーター・グスタフ・ルジューヌ・ディリクレ
(Johann Peter Gustav Lejeune Dirichlet, 1805 - 1859)

なんか便利そう

それ自体の有用性はいろいろあるとは思うし、この関数は「いたるところで不連続」というかなり面白い特徴を持つ関数なんですが、今回の話はそこではありません。

有理数のとき1、無理数のとき0」っていう定義、なんか便宜的っぽいですよね。あぁたしかにそんな関数あったらなんかに使えそうだし、定義しといてもいいよね、って感じで。しかしなんとこの関数、一つの閉じた式として表せるのです。それがこちら。

\displaystyle f(x) =\lim_{n \to \infty}\lim_{k \to \infty} \left(\cos \left(n!\pi x\right)\right)^{2k}

n,kは整数とします。なかなかビックリじゃないですか? 有理数無理数との場合分けを表すのにコサインや階乗が出てきて、しかもそれでちゃんと場合分けが表せているなんて。今回の記事はこれの解説です。読んだ後にはきっとコサインや階乗が出てくる意味に納得できているはずです。

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最近感銘を受けた日常の中の鳩の巣論法

5個の箱があります。

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6羽の鳩がいます。

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6羽の鳩が5個の箱に全員入ったとします。

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少なくとも1つの箱には、2羽以上の鳩が入っているということがわかります。

これが鳩の巣論法です。

一見自明だけど実はすごい

そう言われるとあたりまえですが、この事実を幾何学から数論からかなり広い範囲の証明問題に応用することができ、論証法としてはメジャーどころです。例えば「一辺1の正方形の内部に5つの点を打ったとき、距離が\frac{\sqrt{2}}{2}以下になる2点が必ず存在する」なんてことも証明でたりするんです。なかなか強力でしょう? 一応wikipediaも貼っときます→鳩の巣原理 - Wikipedia

この鳩の巣論法のように、「具体的なことは何もわからないが、少なくとも○○ということだけは言える」といったタイプの論法に、私はなんだかグッときてしまいます。

「具体的にどの箱にどの鳩が、みたいなことはわからないけども、少なくとも『少なくとも1つの箱には、少なくとも2羽の鳩が入っている』ということだけは確実に言える」。すごいですよね。少なくともオンパレードですもんね。わからない問題に対して、「少なくともここまでは確実に言える!」ということを少しずつ明らかにするような形でその問題に挑むなんて、有限の立場に押し込められた人類の叡智を感じます。

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「源義経の母はナポレオン」爆発原理の超わかりやすい解説

エイプリルフールです。普段のキャラとは全く違ったおちゃらけ発言を繰り返してフォロワーを減らすツイッタラーを見るのは切ないですね。

嘘をつくのは楽しいですが、その嘘が「矛盾」を引き起こすことのないようお気をつけ下さい。

以前こんな話題が

twitter

「外は雨が降っており、かつ、雨は降っていない」という前提から、「源義経の母親はナポレオンである」という結論を導け。

という問題がわけわからなすぎるみたいな感じで話題になったのは2014年のことです。

はい。えー完全に機を逸してますが、しかし確かにわけわからなすぎて本当に導けるのかどうか気になるところではあります。

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