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アジマティクス

ここをこうするとおもしろい

一周年のアジマティクスを振り返る(前編)

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おめでとうございます。ありがとうございます。毎回(自分が)興奮する数学ブログとしておなじみのアジマティクスが、2月4日をもちまして一周年を迎えました。ありがとうございます。

ここまで続けてこられたのは完全にみなさまのおかげです。エゴサジャンキーなのでコメント、ブコメ、コメントつきURLツイ、URLツイをRT後ツイなどできる限り読んでるんですが、それらが相当活力になってるのです。ありがとうございます。

この一年で22の記事が生まれ出でました。せっかくですので今回はその22の記事を思い出とともに振り返ろうかと思います。ありがとうございます。

もくじ

時系列順です。リンクは記事そのものに飛びます。

うごく!数式お絵描き(1)

フーリエ級数視覚化装置を作った

「平方剰余」を「約数」になぞらえて理解する

京大理系数学の入試問題(2016)が面白いらしい

「源義経の母はナポレオン」爆発原理の超わかりやすい解説

最近感銘を受けた日常の中の鳩の巣論法

はじめてのディリクレ関数

とりあえずだまされたと思って-(​(-1)^(1/7))を2乗してみてくれ

ケーキに3回だけ刃を入れてできるだけ公平に分割したい話

パラドックスたろう(前編)

ひとつだけでいいから「ほとんど整数」を理解したい!

かかってこいや!「1=2の証明」

(n-1)²+n²とn²+(n+1)²がともに素数のときnは5の倍数

人が壁を押すリンク機構を数式で作った

フィボナッチ的らせん三角形と変拍子について(パドヴァン数列の話)

水平線までの距離って何kmくらいなの?

なんか効率のいい素数の覚え方ないかな?

「パッと見素数」に気をつけろ!

最小二乗法でフシギダネの誕生日を求める

素数大富豪大会MATH POWER杯決勝戦では何が起こっていたのか

それじゃあ任意の自然数をひっくり返す関数でも作って遊ぶか

Googleのカラーピッカーを見て思ったこと

こちらの前編では半分の「ひとつだけでいいから「ほとんど整数」を理解したい!」までを振り返ります。

 

 

①うごく!数式お絵描き(1)

motcho.hateblo.jp

一番最初の記事がこれです。ちなみに(2)はまだありません。ううう......。申し訳ねえ......。記事の最後のとこに「次回こそが本番って感じですね。」とか書いてあるんに......。なんでのっけからこんなばつの悪い思いをしなきゃならないんや......。

当時、私の作った「アンパンマンがドラえもんになるグラフ」がtwitterで人気で、これは機を逃しちゃマズい!と思ってブログを始めた記憶があります。書きたいこともたくさんあったし。しかし実際はtwitterでいくら人気だからと言ってそのままブログの方に人が流れてきてくれるわけなどなく、twittertwitter、ブログはブログで、ちゃんと面白いものを書いて育てていかなきゃいけないんだな、という当たり前のことをこのとき認識しました。よかったですね。

(2)はそのうち......。ほんとそのうち書きますんで......。

今回の興奮ポイント:まるが自由にかける

 

フーリエ級数視覚化装置を作った

motcho.hateblo.jp

フーリエ級数展開を視覚化する装置を作ったので、その顛末なり解説なりを、作ったその日の深夜に書いた記事です。作ったときの勢いのままにサッと書いたわりには(からこそ?)結構ブクマもつき、さらにあの数学ガール結城浩先生言及されるなどしました。初めての経験だったのでとまどい半分嬉しさ半分という感じでいい思い出になりました。

今回の興奮ポイント:好きな関数を視覚的にフーリエ解析できる

 

③「平方剰余」を「約数」になぞらえて理解する

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わかりにくい「平方剰余」をわれわれのよく知っている「約数」に結びつけて理解しよう、という記事です。

うちのブログの記事はだいたい「解説」か「思いつき」かに大別される気がします。が、これは両方ですね。平方剰余を約数になぞらえることができるという「思いつき」を使って、平方剰余を「解説」したわけです。どうやら筆者はこの「思いつき」によってあわよくば数学史に名を残せないか狙っているフシがあります。最後の「平方剰余'」とかけっこう新しい概念だと思うんだけどだめ? 残せない?

今回の激昂ポイント:平方剰余の定義式がわかりにくい

 

④京大理系数学の入試問題(2016)が面白いらしい

motcho.hateblo.jp

京都大学の入試問題が面白かったので解説です。2月中に書いてますからめずらしく機を逃さなかった記事ですね。整数問題をあまりによって分類して解く、ということの楽しさに触れられた記事でもありました。さらに数学の問題はさまざまな解き方があるということの魅力にも。

この記事、アジマティクスの中でも一二を争う検索流入の多い記事です。やたら冗長なタイトルにした甲斐がありました。検索ワードとしては「面白い 数学」「大学入試 面白い問題」「楽しい 問題」などがあり、世の中にそういう需要があることを意識させられます。ていうかそんなワードからうちにたどり着けるのすごいな!

今回の悩みポイント:本題ではないmodの説明をどこまでするか

 

⑤「源義経の母はナポレオン」爆発原理の超わかりやすい解説

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「外は雨が降っており、かつ、雨が降っていない」ならば、「源義経の母親はナポレオンである」と結論できる。爆発原理の解説記事です。

筆者はわりと数学よりは論理学のほうが詳しいのでスラスラ書けたんですが、詳しいがゆえに厳密さを保とうとして注釈の数が大変なことになっていますね。ちょっと見栄えが悪かったのでこれ以降なるべく注釈は避けるようになりました。

記事公開後に「目からうろこ落ちまくった」みたいな反応を頂いて嬉しかった覚えがあります。その方は普段数学からは離れたところにいる方で、そういう方から反応をいただけるとあ〜やっててよかったな〜、届くべき人のもとに届いたな〜と思って心が満たされます。基本的にアジマティクスは高校卒業以来まっっっったく数学なんかに触れてこなかった人をメイン読者として想定しています。

今回の小手先ポイント:別にエイプリルフールのために書いてた記事じゃないのに枕と落ちだけいじって無理矢理エイプリルフール仕様にしてる

 

⑥最近感銘を受けた日常の中の鳩の巣論法

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「エレベーターの押されているボタンと降りる人数」「ゴールタイムの種類と走者の人数」などに鳩の巣論法を見いだすことができて楽しい!! という記事です。

改めて見るとこのブログはtwitterネタが多いですね。日常の中に数学を見いだせるとワクワクするし、そういう記事を書いていきたいとも思っているわけですが、筆者の「日常」が一日中twitterに張り付くことと同義なのでこういうことが起きるわけです。

 

......。

 

今回の教訓:たまには外出しよう

 

⑦はじめてのディリクレ関数

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有理数のとき1無理数のとき0、という変わった関数「ディリクレ関数」の紹介です。

ネタが「 f(x) =\lim_{n \to \infty}\lim_{k \to \infty} \left(\cos \left(n!\pi x\right)\right)^{2k}」という相当にゴツい式ですので、こちらはかなり「わかりやすさ」というものにこだわって書いた記事になってます。

わかりやすくするにはとにかく読者の気持ちに寄り添うことが必要だと思います。図を入れる、文頭の接続詞で心の準備をしてもらう(例えば「つまり」ならこの後に要約が来るとわかる、「さらに」ならこの後に情報が付加されるとわかる、等)、わかりにくいところには「わかりにくいので、例をあげます」と書く、などの方法を使ってとにかくわかりやすさを高めているつもりです。ブコメなどの反応から見るとそれは成功しているのではないかなと思います。

また、「わかりやすく説明しようとする」という営みは自身の理解をも高める、ということが書いててはっきりと自覚できた記事でもあります。 「よーしこの概念理解したしブログで解説しよー」と思って書き始めたら実は2割ほどしか理解していなかった、ということもよくあるのです。

今回の懸案事項:サムネそれでいいのか

 

⑧とりあえずだまされたと思って-(​(-1)^(1/7))を2乗してみてくれ

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a^2=bb^2=cc^2=aというように、「2乗するたびにぐるぐる巡回するような数はないかな?」という思いつきの記事です。

初めてはてブホッテントリに載り、その恐ろしさを実感しました。しかしコメントはわりとみんな好意的というか、マウンティングも少なくその点安心しました。やっぱり自分が面白い!興奮する!と思ったものをそのままありのまま伝えるというのが一番なのでしょう。

コメントに指摘されて後で知ったことですが、マイナスの分数乗って本当はマズいんですよね。値が一つに決まらないから。なんでこうしたかってWolframで計算させたらそういう表記で出てきたからです。また「この内容で複素平面に触れてないのはおかしい」というコメントも確かにそうだと思います。これは単純に思いつきもしなかったから書いてないのです。

筆者は基本的に数学力は低く、ただ数学の気持ちよさとかに魅せられて突き動かされている人間です。「アレに触れてないってことは何か理由があるんだろうな...」みたいなコメントをたまにされますが、はい、その、まあ、知らなかっただけです。

今回の怪我の功名ポイント:「マイナスの分数乗」から「リーマン面」という概念につながって勉強になった

 

⑨ケーキに3回だけ刃を入れてできるだけ公平に分割したい話

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長らくうちのブログで一番バズったものとして君臨していた記事です。

こちらの意図としては単純に「分散」というものの解説、というただそれだけの記事のつもりでしたが、「最大多数の幸福」「公平性を考える難しさ」「現代日本の縮図」などなどなど......。みなさんこの記事から自由に問題意識を見出してくださっていて、それはそれでおもしろいことだと思いました。ただ「横から切れば8等分」とか言い出す奴はもう知らん

問題を思いつき、分散を計算してみてたら結果がああいうことになったので、その瞬間あのオチまでがはっきりと見えてガッツポーズしました。

もともとは、ユージニア・チェン著「数学教室 πの焼き方」という圏論に関する本の表紙を見ていて思いついたアイデアです。

圏論の本ですので、この本の中身には分散の話はいっっっこも出てきません。本当に表紙だけ見て思いついたんです。でもこの本面白いんでおすすめします。イギリス意外と食文化あるじゃんって思います(めっちゃ失礼)。

ちなみに白雪姫の画像が内容的に全く必要ないことはまだ誰にもバレていません。

今回のうれしかったコメント:「絵がかわいい」

 

パラドックスたろう(前編)

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制約だらけの桃太郎」「もしも矢沢永吉が桃太郎を朗読したら」みたいな文化がありますが、あれのパラドックスバージョンです。つまり、昔話の桃太郎のストーリーにパラドックスを散りばめてみたと。

夏コミで上記のパラドックスたろうほか、たかしくんが謎の指令に振り回される「問題な指示たち」、上下左右前後が閉ざされた密室で4次元人と出会う「横から来た男」などの数学要素を組み込んだ短編集を頒布しました。その宣伝記事でもあります。

結局夏コミには100部持っていったんですが、おかげさまで完売することができました。嬉しかった......。そりゃもう嬉しかった......。

現在は以下のURLでCOMIC ZINさんの方から通販で入手することができるようになっていますのでよろしければ手にとってみてください。おもしろいよ!

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 異なる2人の実数解

今回の教訓:原稿の締め切りは何段階にも分けて設定するとよい

 

⑪ひとつだけでいいから「ほとんど整数」を理解したい!

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黄金比(黄金数)を累乗すればするほど整数に近づくのはなぜか?という解説記事です。

いろいろ理由はあるでしょうが、Wikipediaの数学系記事がわかりやすさについて考慮されていることはまれです。 数学用語をググったらだいたい最初にたどり着くのはWikipediaだろうに、こりゃイカンと思って解説記事を書きました。すべての数学用語について最初の検索結果がアジマティクスになるようにこれからも努力していかなくてはなりません。それにしてもまさかあの一行の文が最終的に6800文字まで膨らむとは書き始めた当初は思いもよりませんでした。

複素共役」という用語が一言も出てきていませんが、使ったらわかりにくくなるから使わなかったんだろうな〜とかではなく、はい、つまり、その、そういうことです。この記事公開後に会った人に「ブログ読みました! 複素共役ですね!!」って言われたんですけど「えっ!? あっ......。はい、うん、そうですそうです。複素共役です」ってなりました。後にも先にもあんなに目が泳いだことはない

今回の懺悔:あのときはごめんなさい

 

続きます

さて、だいぶ長くなってまいりましたので一旦このへんで区切ろうかと思います。「フシギダネの誕生日」「パッと見素数」「パドヴァン数列」などの話が載ってる続きは後編で。